やさしい税務会計ニュース
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文書作成日:2025/09/23
令和7年度税制改正による所得税法上の配偶者特別控除の影響

[相談]

 私は会社で経理・給与計算を担当しています。
 所得税法上の配偶者特別控除について、令和7年度税制改正による影響はあるのでしょうか。教えてください。

[回答]

 所得税法上の配偶者特別控除については、その最高額(38万円)の控除を受けられる配偶者の合計所得金額そのものには変更はありませんが、令和7年度税制改正による同一生計配偶者の所得要件と給与所得控除の見直しにより、結果として、配偶者特別控除の最高額(38万円)の適用を受けることができる配偶者の給与収入額が、改正前より引き上げられています。詳細は下記解説をご参照ください。

[解説]

1.配偶者特別控除とは

 配偶者特別控除とは、居住者(納税者本人)が生計を一にする配偶者(※1、※2)で控除対象配偶者(※3)に該当しない人(※6)を有する場合には、その居住者(納税者本人)のその年分の所得金額から一定金額を控除するという制度です。

 この制度により、配偶者に令和7年分税制改正前は48万円、令和7年度税制改正後は58万円を超える所得があるため配偶者控除の適用が受けられないときでも、配偶者の所得金額に応じて、一定の金額の所得控除(※7)が受けられることとなります。

※1 青色事業専従者等を除きます。

※2 合計所得金額が133万円以下である配偶者に限ります。

※3 控除対象配偶者とは、同一生計配偶者(※4)のうち、合計所得金額が1,000万円以下である居住者(納税者本人)の配偶者をいいます。

※4 同一生計配偶者とは、居住者(納税者本人)の配偶者でその居住者と生計を一にする人(青色事業専従者等を除きます)のうち、令和7年度税制改正前は、合計所得金額が48万円以下である人(※5)をいいます。

※5 所得が給与所得のみである人の場合、令和7年度税制改正前は、給与収入が103万円以下であるときに合計所得金額は48万円以下となります。

※6 合計所得金額が1,000万円以下である居住者(納税者本人)の配偶者に限ります。

※7 令和7年度税制改正前の所得税法上の配偶者特別控除の金額は、次の表のとおりです。

2.令和7年度税制改正による配偶者特別控除への影響

 令和7年度税制改正では、令和7年分以後の所得税について、同一生計配偶者の合計所得金額要件が改正前の48万円以下から58万円以下に、10万円引き上げられました。

 また、給与所得控除額についても、最低保障額55万円が10万円引き上げられ、65万円となっています(給与所得控除額の改正範囲については、下の表をご参照ください。)。

 その一方で、上記1.の配偶者特別控除については、所得税における最高額38万円の控除が受けられる配偶者の合計所得金額は95万円以下のままとなっており、令和7年度税制改正による変更は行われていませんが、上記の「同一生計配偶者の所得要件」と「給与所得控除」の見直しにより、その結果として、

@ 配偶者控除の適用から配偶者特別控除の適用に切り替わる配偶者の合計所得金額が、改正前の48万円超から58万円超に引き上げ(所得が給与所得のみである人の場合、給与収入が103万円超から123万円超に引き上げ)
A 所得税における最高額38万円の適用を受けられる配偶者の給与収入額も、150万円以下から160万円以下に引き上げ(※8)

となっています(※9)。

※8 所得が給与所得のみである人の場合、令和7年度税制改正前は、給与収入が150万円以下であるときに合計所得金額は95万円以下となり、令和7年度税制改正後は、給与収入が160万円以下であるときに合計所得金額は95万円以下となります。

※9 なお、配偶者特別控除そのものの適用を受けられる給与収入額は、令和7年度税制改正の前後で変わらず、2,015,999円までとなっています。

[参考]
所法2、28、83、83の2、別表第5、改正所法2、28、83、83の2、別表第5、令和7年改正所法附則1、2、3など

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